私たちが日々スーパーで購入し食べている食品には、全部と言っていいほど食品添加物が使用されています。
近年は健康志向の方が増え、無添加の食品にこだわって買い物をする方も増えていますよね。ご自身や大切な家族の健康のためにも、添加物が1つも入っていない商品がいい。でもそんな商品を見つけるのはほぼ不可能!とお悩みの方。
じつは食品添加物は「完全に悪!」というものではありません。世の中には、食べても問題のない添加物もあるんですよ。
今回はなぜほぼ全ての市販の食品に添加物を使用するのか、そのメリット(長所)とデメリット(短所)、食べても問題のない添加物などについて、いくつか例を上げながらお話していきます。
添加物を使うメリットや目的って、いったい何だろう・・・
食品添加物ってなに?
まずはじめに、食品添加物とはなにかについてお話しましょう。
厚生労働省によると以下の目的で使用することを、基本的な考えとしています。
一般的によくないイメージを持たれる添加物ですが、国で安全性が認められたものだけが使用でき、一生食べ続けても問題のないものや量のみとなっています。
添加物は厳しいルールによって認定・使用されていますが、物質単体での安全性は認められているものの、いくつかの添加物を同時に摂ること(複合摂取)についてのリスクは未知数で国もわかっていません。
食品添加物のメリット5つとは
食品業界がほぼ全ての商品に添加物を使うには様々な理由がありますが、代表的なメリットは以下のようになります。
保存期間が長くなる
食品添加物を利用する大きな理由の1つとして、保存期間が伸びることが挙げられます。ハムやソーセージなどの加工肉、コンビニで売られている菓子パンなど、多くの商品は購入してすぐに食べず、数日間置いていてもおいしく食べられますよね。
国内だけでなく海外からの移動も含め、食品は生産・製造から消費者の手元に届けられるまで、さまざまなルートや時間をかけて経由しています。
その間に食品そのものが腐ってしまったり、虫などに食われないように、防腐剤などの添加物を利用されることがほとんどです。
私たちが現地に直接行かなくても自宅で世界中のおいしいものが食べられたり、ひんぱんに買い物に行かなくてもいいのは、防腐剤や保存料など添加物のおかげなのですね。
食中毒の防止
世界と比べて日本には四季があり、温暖多湿の気候の影響で食品がとても腐りやすく、食中毒が発生しやすい国といわれているのをご存知ですか?
加工食品に広く使われる保存料によって、食中毒の原因になる菌を減少させリスクを抑える大きな要因になっています。
品質や価格が安定する
原材料(食材本来のもの)だけではそのつど、気候や時期などの影響で出来ばえにばらつきが出てしまいますが、食品添加物を使用することで品質をいつでも一定に保つことができます。
また添加物を使用することで材料費や輸送費が抑えられたり、保存能力が上がることで生産コストが軽減され、商品価格も安定できます。
いつもと同じ食品をいつでも変わらず作り続けられ、旬に限らず1年中欲しい食品を購入できるのは、消費者にとって大きなメリットですよね。
味や見た目が良くなる
調味料や着色料・酸化防止剤などの添加物を使うことで、食べ物の見た目、味、食感などが向上します。見た目や味、香りのよさなどは、私たちが食事を楽しむためにぜったい必要ですよね。
しかも添加物を使うことでコストも抑えられるので、安くておいしい食品になります。ラーメンを例に上げると、ラーメン屋さんで食べると1杯1000円ほどしますが、カップラーメンだと100円ぐらいでもおいしく食べられますよね。これもカップラーメンには添加物がたくさん使われているからなんです。
必要な栄養を強化する
不足しがちな栄養素や、私たちのからだでは作り出せない栄養素なども添加物から補うことができます。
アミノ酸やビタミン・ミネラルなど、健康なからだを維持するために必要な成分を、栄養強化剤として添加物から補給できるのです。
ただ栄養強化剤はパッケージに記載しなくても良いというルールなので、私たち消費者には少しわかりにくいですよね。「レモン○個分のビタミンC」や「牛乳○本分のカルシウム」などが書かれた商品は、栄養強化剤が入っている可能性が高いでしょう。
食品添加物のデメリット5つとは
こうして見ると私たちにとって、毎日の食生活に食品添加物は欠かせないものかと思いますが、もちろん以下のようなデメリットもあります。
からだや健康に影響を与える
食品添加物は厚生労働省が安全性を認めているものしか使用されていませんが、添加物1つずつ(単体)の安全性だけの確認で、複数の添加物の摂取(複合摂取)についてはわかっていません。
添加物の中には摂り続けることによって発がん性のあるもの、体内で異物となるもの、毒性が強く障害をもたらすものなど、健康にリスクがあると疑われているものも使用されています。
自分自身や家族にとって、健康被害をもたらす恐れのある添加物が入っている商品は、なるべく購入を避けるように気をつけましょう。
1日の摂取量が決まっている
国の食品安全委員会や国際機関が、食品添加物の「一日摂取許容量(ADI)」を決めており、適切な量を摂ることで安全性が確保されるとしています。
ようするに決められた量以下であれば、添加物を毎日食べ続けても、将来的に健康リスクに問題ないという基準になっているのです。
極端に毎日同じ添加物を大量に食べない限り毒性はほぼありませんが、先ほど言ったように複合摂取のリスクはあるので、摂取量には気をつけましょう。
糖分・塩分の摂りすぎになる
市販のほとんどの商品には砂糖と塩が入っています。例を上げると、私たちのごく身近にある清涼飲料水や缶コーヒーなどは、想像以上に砂糖や添加物が含まれています。
特にコーラやサイダーなどの炭酸飲料には、角砂糖10〜16個分相当の糖分が入っており、現代人の肥満やメタボの原因になっていると言われていますよね。
塩分も同様にインスタントラーメンやスナック菓子など、市販の加工食品はうま味や濃厚さを出すため、過剰に塩分が入っているのです。
味覚障害を引き起こす?
じつは近年、食べ物の味がわからないという「味覚障害」の方が増えてきているのをご存知ですか。理由はさまざまですがその1つに、食品添加物の過剰摂取があげられています。
添加物には亜鉛の吸収を妨げたり、体内から排泄させてしまうものがあり、甘味や酸味、苦味を感じる舌の表面の細胞を十分に作れず味覚障害を起こしてしまうのです。
甘味料や調味料に慣れすぎてしまうと、素材そのものが持つ本来の味や甘みをおいしいと感じられなくなるそうなので、摂りすぎには十分注意しましょう。
アレルギー物質が入っていることがある
食材そのものにアレルギーがなくても、使われている添加物がアレルギー品目由来という可能性があります。化学物質だけでなく、最近は天然由来の添加物が増えているのでパッケージにも○○由来と表示されているのを見たことがある方もおられるでしょう。
その際に赤い着色料なら「カニ色素」、乳化剤なら「カゼイン(乳由来)」などというように、アレルギー食品名も表記されています。買い物のときは、アレルギー物質が添加物に含まれていないか確認する必要がありますね。
比較的安全な添加物とは
天然由来の色素(天然=安全ではない)
多くの商品は色付けのために「赤色○号」や「黄色○号」といった、石油由来の着色料(タール色素)が使用されていますが、最近では健康志向の方の増加もあり、化学色素だけではなく天然由来のものが増えています。
たとえば赤色でしたらトマトやパプリカ・ベニバナなど、食品本来がもつ色を着色料の色素として使用しているのです。
ただし天然のものが全て安全で、人工のものが全て危険という訳ではありません。天然のものの中にはまれに、安全性を科学的に十分調べていないものもあったり、キノコやふぐなど毒性を持ったものもあることを知っておいてくださいね。
食べ物が添加物として使用されているもの
食品添加物の中には、オレンジやレモンなど果物の果汁や、寒天・卵白・よもぎなど、食品それ自体が添加物として使われているものがあります。
たとえば果物の果汁は着色料として、寒天と卵白は製造用剤として、よもぎは苦味料として使われており、これらは安全性に問題はないと言われています。
このように添加物の中にも、国内で昔からずっと使われているものや、天然由来のものがあるので、世の中全ての添加物が悪くて避けなければならないということはありません。
まとめ
いかがでしたか。今回は食品添加物を利用することのメリットとデメリットについてお伝えしました。
メリット | デメリット |
---|---|
保存期間が長くなる 食中毒の防止 品質や価格が安定する 味や見た目が良くなる 必要な栄養を強化する | からだや健康に影響を与える 1日の摂取量が決まっている 糖分・塩分の摂りすぎになる 味覚障害を引き起こす可能性がある アレルギー物質が入っていることがある |
世間では「添加物=悪」というイメージがついていますが、添加物がないと私たちの食生活はこんなに豊かには決してなれませんでした。
全国、そして海外からさまざまな種類の食品が流通したり、多様化した私たちの食生活にはやはり食品添加物が必要です。もちろん中には、食べ続けると健康に害を与える危険性があるものも存在します。
だからといって「○○は危険だから食べるのを一切やめよう!」ということではなりません。例えば塩ですが、1日8g食べるのは問題なくても、80g食べていると心臓病や高血圧になりますよね。安全な食べ物でも摂り過ぎればもちろん毒になり、適量であれば問題ないのです。
食品添加物も天然のものでも過剰に食べすぎず、バランスよく栄養を摂るように心がけるとよいですね。
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